令和5年12月12日~12月15日
海外視察を行いました。
視察先1 Dream Nursing Home(ドリームナーシングホーム)2023年7月にタイ保健省より開設認可を受けた介護施設
ド リームナーシングホームは、バンコク郊外のノンタブリー県(バンコク中心地から北に位置し、直線距離にして約20kmの距離。)ノンタブリーはアユタヤ時代から続く都市です。
入所対象者は、自分一人での生活ができない方、寝たきり状態の方、退院後で自宅での生活に必要な能力を回復するための期間での利用を希望される方です。基本的にタイの介護施設には、自分である程度生活ができる方は入所されないとのことです。
2021年に介護に関する省令がタイ保健省により施行されました。この省令では、①サービスプロバイダー(いわゆる介護士)、②オペレーター(施設の運営責任者)、③介護施設についての新たなライセンスと登録が義務付けられました。これは、タイ国においても新型コロナウイルスが蔓延し、感染者や死者が増加した背景の下、特に感染対策としての意味合いが強いものであったとのことです。
タイ国には日本国で言う介護保険制度が無く、介護施設への入所は自費となるため、ご利用者やご家族の負担が大きいだけではなく、施設運営も難しいようです。
タイ国も少子高齢化が進み、様々な業種で人材不足となっています。介護人材については大きな問題となっていませんが、今後の介護需要で人材不足となることが懸念されています。
視察先2 福岡県バンコク事務所
東南アジアの情報の中心、バンコクにある福岡県バンコク事務所を訪問し、情報交換を行いました。
国立ヒマドン大学の研究機関によると、2020年のタイ国の平均寿命は男性73.6歳、女性が80.7歳(1990年代では男女合わせた平均寿命は70歳程度)で、医療技術等の向上によって上昇傾向にあるそうです。
介護は家族が担う(女性が主)ものとの考えが根強いことと、介護施設の利用料金が世帯収入に対して高額であることから、女性がキャリアを捨てて介護に専念することが問題視されることが多いそうです。今後は介護事業の発展も考えられるが、国の制度がどの程度後押しするかが大きな鍵となると考えます。
(参考)Globai Gender Report 2022によると、タイの女性管理職の割合は39.21%で、日本の13.28%の約3倍。
現在の介護施設はタイ国人向けが殆どであるが、タイ政府は10年間有効のリタイアメントビザを導入していることと、一定額の預貯金と収入のある外国人が多数タイに滞在していることから、外国籍高齢者も顧客の対象となります。実際に1月に日本円で30万円以上の利用料が必要な外国人に向けた介護施設もあるそうです。
(前)冷牟田洋一 理事長
(奥)グリーンプラザ開発株式会社 小林祐馬 社長
(右)西田光孝 バンコク事務所所長
(左)東智子 バンコク事務所副所長
タイ国福岡県人会についての説明をいただきました。
1982年に設立された主に企業の駐在員などによって、企業の垣根を越えて組織された企業県人会であり、福岡県バンコク事務所と県内企業とで事務局を務めているそうです。
会員は福岡県に所縁のある方の約700名。毎月のイベント(スポーツ、懇親会等)を通じて親睦を図り、ビジネスや日常のコミュニティづくりを目的とした集まり。
イベントの参加のみではなく、ビジネスでの橋渡しを事務局に依頼することも可能。
今回の視察でも、運転手付きレンタカーと通訳サービスにおいては福岡県バンコク事務所を通じて福岡県人会のメンバーの関係する会社を紹介していただき、他社よりも安価でスムーズ、安全なスケジュールを組むことができました。
おわりに
ドリームナーシングホームは介護のライセンスを取得し、施設開設の認可を取って「これからの介護を担う。」といった勢いと覚悟を感じたような気がします。
日本で介護保険制度が始まった時、私たちも同じような覚悟を持ち、理想の介護を追求しようと考えていたのではないだろうかと、初心を思い出しました。
今後も国内外を問わず視察を行い、アジアの中での日本の福祉、世界の中での日本の介福祉がどうなっているのかを知ることで、介護人材の確保、より良いサービスの提供ができるのではないかと考えます。
文責:総務課 星山